言葉の読み方は、簡単な漢字ほど、「あれ!?読み方違ってた?」「こう読むんだったの?」
ってわかったときは衝撃ですよね。会社や学校だと恥ずかしいなと思ってしまいます。
家族間でも、漢字の読み方や意味の違いを正したり、指摘するのはお互いに骨の折れることでしょう。ちょっとしたプライド、みたいなものが揺さぶられるのかも?
はっきりと、自分が間違って覚えていたら、潔く諦めるしかないけど、意外と、思い違いや知らなかったこともあるものです。
おなじ漢字でも、2通りの読み方があったり、意味が異なったり。
それが漢字の面白みでもあり、とっても奥深いものですね。
時代の流れとともに、本来の意味が変化していたり、当て字を都合よく使っていたり
言葉も漢字も私たちの生活に密着していることがよく分かります。
そんな言葉の意味をすこし探っていきましょう!
https://www.photo-ac.com/main/detail/1308258?title=松尾芭蕉
◯「五月晴れ」の意味は読み方によって全く違う!?
季節を表す漢字のひとつに「五月晴れ」があります。
読み方は「さつきばれ」と読みます。
旧暦の5月(さつき)からきた言葉なので、「さつきばれ」となります。
梅雨の間にあらわれる晴れのことを、「五月晴れ」といい、毎日、しとしと雨の降る梅雨なのに、この晴れは、まるで五月のようなさわやかな晴れみたいだ、という気持ちを表現しています。
それが、いつのまにか梅雨ではない5月のさわやかな晴れの空のことを、「五月晴れ」というようになりました。
「ごがつばれ」と読まれることが多く、これは新暦の5月のことです。そのまま、5月の晴れの日の意味を持ちます。
どちらも晴れ渡った、気持ちのいい空のことを表現しているんですね。
「さつきばれ」でも「ごがつはれ」でも、いいのですが、「五月晴れ」の使う時期によって
読み方が違ってきますね。
https://pixabay.com/ja/太陽-夏-青-空-晴れ時々-曇り-日光-暖かい-ホット-3588618/
似たような表現で、「小春日和」(こはるびより)という言葉もあります。
漢字から想像すると、春の日のことを表現しているようですが、意味は、
初冬のいかにも小春らしい穏やかで暖かい日和のことを表します。春に使う言葉ではなく冬に使う言葉なんですね。
この言葉と堂々と春に使っている人がいたら、やんわりと正しい使い方を教えてあげましょう。
季節の言葉は、旧暦と新暦があって多少ずれて混乱しそうですが、俳句をたしなむと
季語を使うことによって、慣れてきますよ。
https://www.photo-ac.com/main/detail/1308258?title=松尾芭蕉
◯「五月晴れ」は俳句の季語としても有名!!
俳句の世界で「五月晴れ」は夏の季語となり、夏としての意味を持つんですね。
うっそうとした長い梅雨が終わって、初夏の香りや空気感を感じさせてくれる
爽やかなイメージがします。
そんな五月晴れの代表的な俳句をご紹介しましょう。
夕顔の 苗売る声や 五月晴れ 正岡子規
うれしさや小草彩もつ五月晴れ 正岡子規
虹出てよしやうじの破れの五月晴れ 小林一茶
抱きおこす葵の花やさ五月晴れ 蝶夢
朝虹は伊吹に過ごし五月晴れ 麦水
小舟して洗う画舫五月晴れ 寒川鼠骨
「五月」とある季語は五月晴れの他にも、
☆五月富士(さつきふじ)・・・旧暦の五月。雪も消えて夏の大地に悠然とそびえ立つ富士山のこと。日々、緑が濃くなる富士の樹海の景色とあいまってその姿は雄大です。
目にかかる ときやことさら 五月富士 松尾芭蕉
☆五月(さつき)
噴水の 玉とびちがふ 五月かな 中村汀女
この稚子に 五月の清暑復来る 山口誓子
☆五月鯉(さつきごい)・・・単語の節句が5月にあることから
おろされて 陽のほとぼりの五月鯉 伊丹三樹彦
四万十川の 風ふんまへて五月鯉 田村みさを
☆五月闇 (さつきやみ)・・梅雨の頃のうっそうとした暗さをいいます。昼間の厚い雲に
覆われた暗さでもありますが、月のない闇夜のこともいいます。
とんねるに 水踏む音や五月闇 正岡子規
大仏や 眼許り光る五月闇 正岡子規
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